「西田ひかる」SINGLESコンプリート
ズバリ、あれば、買い、です。他のベスト盤(3種あり)は、歯抜けのように「知られた(=ヒットした、ではないが…。)」ヒットが無くて、Wink的なせつなさを強調したマイナー調な彼女としては異色シングル「涙のPearl Moon」、小室哲哉を相当意識した(マーク・パンサー作詞)「as pure as」などはこのベスト盤でしか聴けない。歌は上手くも下手でも無いが、この手の乾いた声質(アン・ルイス→早見優→西田ひかる)は聴いていて疲れない。中島みゆき、筒美京平、松本隆、林哲司、谷山浩子、久保田利伸、高橋研、
多彩な作家陣、しかもこの時期(90年代末期)で阿久悠書き下ろし歌詞の「ダンダン娘」など、
歌手活動が継続的に15年間続いた点もアイドルとしては貴重。
人間失格 (新潮文庫 (た-2-5))
昔からずーと気になっていました。
しかし、原作は私には難しく、2回トライしましたが読み切ることなく終わってしまいました。
本作品は、とても良くできています。
個人的に絵のタッチも大好きです。
内容は、大筋でいうと「嫌と言えない自分が嫌で、世間が怖くなり、それから逃げるために酒と女におぼれていく」物語です。
読んだ後、しばらく考えさせられる作品でした。
貝獣物語
当時説明書とカセットのみの状態で購入した。密書がなく、インターネットが普及していない時代だったし、攻略本も無くクリアできたのには、感動した。ラストダンジョンが、壁を調べて壊したり、ダイナマイトをセットして壊す等の進み方をするので、それが最初分からなかった。
エンディングの音楽がなぜか暗くて、印象に残らなかった、残念。
魔女ばかりいる町では、たまにバグって、突然目茶苦茶強い敵が出てきて何回か全滅した、心臓に悪い。
このゲームほど「毒」が凶悪なものは無いだろう。
クピクピがいればどこででもセーブできる、この点は非常に助かる。
ポヨンのワープは行ったことのない所にも行けるので便利。
マップも広くてボリュームがある。経験値がパーティー組むと分割されレベル上がりにくい。
個人的にはモンスターデザインは、ドラクエ並に良かったと思う。HPが減るとグラフィックが変わる演出も良かった。ただ、その戦闘において、いくつかの問題があり、これがゲームの面白さを悪くした。
随所に制作者の新しい試みへの意欲が感じられたゲームだった。
雪国 (新潮文庫 (か-1-1))
とくに目立った展開もなく淡々と話が進みます。
ただこの「淡々と」というのがこの作品の肝なのかもしれません。
川端康成は文章という魔法を使って雪国での日常を美しい叙情の世界へ変えてくれます。
その淡々とした流れには、まさに雪のなかでゆっくり紡いでいくような繊細さがあって、それは折にふれて女の白い首筋のような脆い妖しさを引き出します。
淡々と物語を読み進めていくうちに「果たしてこれは現実なのか、それとも夢か」という疑問が浮かんでくることでしょう。それが真価なんです。その瞬間に今ある日常は揺らいで、『天の河のなかへ体がふうと浮き上がってゆく』のです。
また、この作品の特徴のひとつとして「どのページからでも物語に引き込まれる」というのがあります。邪道かもしれませんが、僕はこの小説を読み返すときははじめから終わりまできっちり読み通すことはあまりなく、気に入っている場面をぱっと開いてそこから読み進めていきます。この読書態度はどうあれ、それでも十分物語に入っていけるぐらい細部に魅力があります。日常の真価は細部に宿るもので、この雪国という小説はその命題を十分に体現しているものといえるでしょう。おすすめです。