
メリー・ゴー・ラウンド
本作は、ブルーノートのシリーズの中でも、アルバムとしてCD化されたのは初登場になります。当時に新進気鋭の若手ミュージシャンを採用して、注目すべき作品とも言えます。まず、ヤン・ハマーは、ジェフ・ベックと共演してロック・ファンにも名前を知られるようになりましたが、この当時はチェコから移住してきたばかりでした。3曲目の「LUNGS」はヤン・ハマーの作品。2分半の短い曲ながら、マッコイ・タイナーばりのピアノプレイを聴かせてくれます。
日本における代表的なフュージョン・ギタリストである増尾好秋は、1曲目と4曲目に参加。こちらもニューヨークに北ばかりでした。ブルーノートのレコーディングに参加した初めての日本人でした。
このアルバムの一番の聞き物は、チック。コリアの「ラ・フィエスタ」でしょう。自身の「リターン・トゥ・フォーエヴァー」に収録される3ヶ月前の録音。ソプラノは同じジョー・ファレルです。ただし、チック自身はエレピではなく、ピアノでプレイしています。聞き比べてみるのも一興でしょう。
全体的に短めの曲で親しみやすい雰囲気にできあがっています。

イントゥ・サムシン
ジャズを聴き始めて、大分経った頃にヤングの存在を知ったのですが、従来のオルガン・ジャズにあった臭みのないスタイルは斬新に聞こえました。クールに突き詰めていくという感じ。グラント・グリーン、サム・リヴァース、エルヴィン・ジョーンズという組み合わせも意表を突いています。フリーのイメージのあるリヴァースもゴキゲンにスウィングして、もちろんエルヴィンは絶好調、グリーンの軽いギターもノリのいい「プラザ・デ・トロス」で跳ねています。

抱きしめたい
このCDの1曲目(及びタイトル)は、そうです
ビートルズのあの「抱きしめたい」のカバーです。
タイトル曲の他にもスピーク・ロウ、ステラ…、コルコヴァドなど
スタンダード満載でジャズ初心者の方にもお奨めですよ。
編成はオルガンが入ってて、エルビンがドラム叩いてて
けっこうゴリゴリしてるかなぁ、と思われるかもしれませんが
どちらかといえば、むしろポップで聴きやすい一枚です。
なにしろグリーンの軽めであったかいギタープレイに
中量級代表選手モブレーの優しいテナーですから
肩の力が抜けた作品(もちろん良い意味で)になってるのも納得です。
「クッキー食べながらコーヒー」みたいなイージーリスニングでも全然OK。
日曜日の午後なんかにリラックスして聴きたい一枚です。
のんびりできて5つ星。
ところでジャケットの女性は誰なんでしょう?無国籍なお顔立ちですが…

至上の愛/エルビン・ジョーンズ・イン・コンサート [DVD]
ジャズファンもそうでない人も必見の一枚。
昨年亡くなったジャズドラムの巨星エルヴィン・ジョーンズの88年の東京コンサートのDVD。先に逝ってしまったエルヴィンの朋友"Train"ことジョン・コルトレーンへのトリビュートコンサートらしいが、彼自身の没後発売で買わずにいられなかった。
コンサート時はまだまだ現役バリバリだったはずだが、今観ると、まるで”でっかい天使エルヴィン”が天から舞い降りてきて昔の仲間達との再会を喜んで演奏しているような錯覚に陥ってしまう。
シンプルで暗いステージの真中にセットされたドラムに、白いタキシードのエルヴィンが浮かび上がり、"Chim Chim Cherry"を奏で始めると、鳥肌が立つ。ステージの物凄いオーラに引きこまれ、後は酔いしれるのみ。
印象的なのはエルヴィンの表情。終始、昇華したかのような幸福に満ちた表情で、本当に楽しくてしようがないといった感じ。観ているこちらまで幸せな気分になる。「これが音楽なんだよ。楽しいよ。」という彼のメッセージのよう。
廻りを固める超豪華なメンバー(タイナー、ハバート、フォーチュン、デイヴィス)も、それぞれ”絶句!!”するほど素晴らしいが、これが皆まとめて聴ける観れる贅沢なひととき。しあわせ・・。
「人類に素晴らしい遺産をありがとう、エルヴィン。
天国でTrainや先に逝った仲間達との演奏楽しんでください。
本当にありがとう。」