アマデウス [DVD]
モーツアルトを演じるトム・ハルスは「アニマル・ハウス」の大人しい新入生。大岡昇平はスタンダーリアン(戦後エール大学に留学。だがスタンダール専門家いなくてがっかり)だからモーツアルト一筋。師匠の小林秀雄も有名なモーツアルト論あり。どうもエリートが好むようだ。革マル派幹部もクラシック愛好家が多い。黒田寛一氏の講演テープの始めにはトスカニーニが聞こえた。曲は知らない。アンチ・エリートの私は嫌いではないが大好きでもない、中間派。グルダのモーツアルトは定評がありこれを越える演奏はない。対照的にグールドはあまり好きでないらしくソナタなど馬鹿早く弾いたり故意に雑に演奏している。天才だが変わり者には困ったもんだ?モーツアルトは天才には違いないが「神童」も例の「ベアトリス書簡」を読むとさすがの私も書けないほど「下品」なことを書いて送っている。モーツアルトは腸が弱かったらしい。「サリエリ」は全然知らない音楽家だがまあ不運というしかない。同時代に天才がいると。才能に嫉妬して毒殺をするだろうか?疑問である。
モーツァルト2台のピアノのためのソナタとフーガ 全音ピアノライブラリー
今から20年前私がまだ高校生だった頃、双子の女性の外国人のピアニストのコンサートに行き、この曲を初めて聴きました。まさに雷に打たれたような衝撃的な感動を味わいました。こんなすばらしい曲をなぜ今まで知らなかったんだろうって。その日、コンサートの帰りに楽譜屋さん直行、お小遣いをはたいて購入したのはいうまでもありません。この曲が収録されたレコードは当時なく、この20年間私だけが特別に知っている名曲と思っていたのですが、今月始まった「のだめカンタービレ」のドラマにも登場。一般の多くの人の知る有名な曲の一つになるのではと思います。ピアノをある程度弾ける人でないと難しいかもしれませんが、ぜひ購入して、お友達とあわせてみてください。それが無理なら、片方のパートを歌いながら、もう一方のパートを弾いてみるだけでもとても楽しく、ピアノを習っていてよかったー、音楽ってやっぱりいいなぁと実感できることでしょう。
ブラームス:弦楽六重奏曲集
若き日のブラームスの内に秘めた想いが、六挺の弦の厚みのある響きに乗って歌われてゆく「弦楽六重奏曲」がふたつ。ブラームスが27歳の1860年に完成した『第1番 作品18』と、32歳の1865年に完成した『第2番 作品36』。
今回聴き比べてみて、『第1番』の音楽に強く惹かれました。それぞれの楽章にあふれる歌の美しさ、のびやかで情熱的な音楽の息吹に、若きブラームスのたぎる想いが切々と吐露されているように感じられたからです。とりわけ、ルイ・マル監督の映画『恋人たち』で使われたという第2楽章、変奏曲の音楽がいいですねぇ。ヴィオラで始まる美しいメロディーに息苦しさを覚えつつ聴いていくと、途中でそれが明るい晴れやかな音楽へと転じ、最後に再び情熱的なテーマが、今度はチェロによって静かに回想される。アマデウス弦楽四重奏団の第1ヴァイオリンを担当するノーバート・ブレイニンの弦の響きを始め、六人の弦楽器奏者の琴瑟相和す演奏。素晴らしかったなあ。
『弦楽六重奏曲 第1番』が、1966年12月。『弦楽六重奏曲 第2番』が、1968年3月の録音。
モーツァルト 天才の秘密 (文春新書)
2006年に生誕250周年を迎えたモーツァルトの小伝。著者の深い洞察と教養に裏打ちされた人間観・芸術観を前面に押し出した好著。このサイズの評伝としては現時点での最高傑作ではないだろうか。まあモーツァルト父子にはかなりきつい書き方になってはいるが、真の高みを知るものに手放しの礼賛など必要ないのだろう。