おくりびと [DVD]
ベタな脚本を受け入れられるかどうかで評価が全く変わってしまう作品だと思います。後半は「ドラマ仕立て」が強く、「話が出来すぎ」の感が否めません。
淡々とした経験を通じ、主人公の職業間や死生観が少しずつ確実に変わっていくという骨格は、わりとしっかりしているのだから、肉付けが上手くいっていない感じがします。
つまり、「虚構」を心地よく楽しめるかどうかが良質なエンターテイメントであるどうかの分かれ目であり、また、本作品ではメッセージ性も大変重要ですから、そのためにもリアリティの確保はとても重要だったはずです。
例えば、奥さんの態度ですが、これは誰が演じても無理があります。常に夫を受け入れ応援してきた妻に、あそこまでの職業差別感情があるのか?と思うと、違和感がありすぎます。「チェリストの夢を諦めて、たどり着いたのがこの職業なの?それで納得できるの?」という問いかけならいざ知らず、いきなり「けがらわしい・・・」ですからねぇ・・・。
本木雅弘さん、山崎努さんの演技は素晴らしいですが、脇役にこそ見所があります。特に、ツボは山田辰夫さん。チンピラ役のイメージが非常に強い山田さんですが、そのぶっきらぼうな態度が今回もハマリ役でした。滝田監督とは高校の同級生だそうですが、残念ながら、今年(2009年)7月に亡くなられました。
BOX~袴田事件 命とは~ [DVD]
ファンタジーを一切排する高橋伴明節がさく裂!
ファンタジー全盛の今だからこそ
そしてファンタジーが大好きな僕だからこそ
こういう映画を観る必要がある
袴田事件に必要な《想像力》とは何か…
国家権力と人権と生命のリアリティに
映画作りと映画観賞はどう突き刺さりうるか!
この作品にほんの時々差し込まれる《象徴》、あるいは《幻視》
その究極性を、僕らは見逃してはならないのは当然として
さてそれをどう受け止めていけるのか…
国家社会への問題提起はむろんのこと
《現実》と《虚構》、作品におけるフィクション性についても
真正面から突き付けてくる作品