東京暮色 [DVD]
小津安二郎が笠智衆、原節子と組んだ毎度おなじみの父娘もの。家族を捨てた母親役で山田五十鈴、原節子演じる長女孝子の妹明子役に有馬稲子を迎えて、映画全体にボリュームアップした感があるが、テーマは相も変らず「娘の将来を心配する親が、その娘に去られてしまう」お話である。あの手この手で設定をいろいろと変えて工夫はしているが、原節子をヒロインにすえた小津作品は、どれもこれもほとんど同じといっていい内容である。同一テーマの作品をこれほどしつこく撮り続けた小津の執念には感服するが、本作品を劇場で見た当時の観客も「また?」という感想を持ったにちがいない。
この映画にはいろいろな店が登場する。浦部粂子の経営する小料理屋にはじまり、うなぎ屋、雀荘、喫茶店、バー、パチンコ屋、ラーメン屋、おでん屋・・・。それぞれの店の主人や客には有名な俳優が配役されており、さながらカメオ出演のような趣がある。杉山家の面々とこれら多くの人物たちとの会話によって物語が進行していくストーリーは、『麦秋』の流れを汲んだ脚本家・野田高悟のアイデアであろう。
定年後銀行の監査役に就いている父親周平の態度や表情に少し腑に落ちない点がある。家族を捨てた母親・喜久子が雀荘の管理人として五反田に引っ越してきたことを孝子から聞いた時、そして、娘の明子が事故にあって死んでしまった後、笠智衆演じる周平はまるで何事もなかったかのように平然としているのである。元々表情の変化に乏しい役者であるが、いくらなんでもこれは不自然すぎる。
その代わり、長女である孝子が擬似母親的な役割を担っている点に注目したい。喜久子が男と去ってつらい思いをした父親を思いやり、明子に正体を告げるなと喜久子に釘をさしたかと思えば、明子の弔問に訪れた喜久子を家にあげようともせず門前払いする。さらに東京を去ろうとする母親を駅のホームへ行って見送ろうともしない冷淡な態度は、喜久子に捨てられた怨念以上の近親相姦的な臭いを感じないでもない。
しかし、この孝子、自分の子供が明子のようになっては不憫だと言って、(父を捨て)夫の元へさっさと戻ってしまうのだ。かくして、完全な一人ぼっちになってしまった周平は、お手伝いさんに用を言いつけていつものように銀行へ出勤する。孤独などまるで感じられない感情が麻痺しきった後ろ姿は、深刻な場面で流れるのんきなBGMと同じくらい、観客は違和感を覚えるのである。
物語の核となる出来事をあえてスクリーンに映し出さず、事件の余白を丁寧につないで行間を読ませる小津独特の手法も、本作に関していえば有効に働いていない。登場人物や場面設定があまりにも多すぎて、たたでさえ散漫な印象を受けるのに、余白メインの演出では薄味すぎて一般観客の口にはとても合わないだろう。いつも以上に毒の強いストーリーでインパクトを補おうとしていたが、そのバランスはきわめて悪いのである。
バラと痛恨の日々―有馬稲子自伝 (中公文庫)
2010年4月、日経新聞に有馬稲子さんの「私の履歴書」が連載され、とても評判になりました。
連載が終わった後、この自伝が既に出版されていることを知り、手に取りました。
幼少期の家庭環境、家族との関係、2度の結婚そして離婚など、驚くような事実を、率直に綴っています。
特に、若い時のご自身の不倫恋愛について、読んだときは驚きました。
こんなにはっきり書いて、大丈夫なの? と心配になったほどです。
綺麗な装丁の本です。
題名もシャレています。
文章も簡潔で読みやすく、ユーモアも茶目っ気もたっぷり。
不器用だと自分のことを言う、素敵な女優さんの元気をもらえる本です。
サンキュー・フォー・ザ・ミュージック(初回限定盤)(DVD付)
仮にもオリコン1位を取った事があるバンドのベストが3年もレビュー0って…
当時なんとなくTUTAYAで借りましたがそれなりに聞ける選曲だと思いましたよ。
『雨のち君』とか綺麗な曲だと思うし、まぁでも繰り返し繰り返すようなアルバムでもないかな
前半の方がいい曲が多く、後半になるに伝わってマンネリ気味になっているのは残念
個人的な評価は★3つぐらいだと思いました。