コミュニケーション力を引き出す (PHP新書)
文部科学省社会人の学び直しニーズ対応教育推進プログラム委託事業として青山学院大学と大阪大学で「ワークショップデザイナー育成プログラム」というものが行われています。
そこの講師であり内閣府内閣官房参与である著者の平田オリザさんの授業を受けて演劇ワークショップに興味を持ちました。
そこで手に入れたのがこの1冊です。
さすがわ演劇人が書く本は違います。
本の中に入って演劇ワークショップの世界を探検しているかの気分になってきます。
体験しながら学ぶ経験をこの本でも体感することができます。
コミュニケーションとは何ぞや?
そんなことを考えさせられます。
教育現場に演劇を取り入れたい人、企業研修に演劇を取り入れたい人、海外の文化事業に興味がある人、研修講師やファシリテーターの方で演劇の要素を取り入れたい人におススメです。
演劇界が一般社会にアウトリーチしてきたことを感じた1冊です。
ニッポンには対話がない―学びとコミュニケーションの再生
同調性がつよい日本の社会で、個性を持った子は自分の思うことを発言出来ない。
「あなたの言ってることがわからない」といわれると傷きますし、
敵になってしまうことは迂闊に言えないので、自分の影を薄くして息をひそめる。
わたしもそんな暗〜いとこもあった子供時代&思春期さらに青年期を過ごし、
多様性のある場所で単独行動するのがしっくりときます。
これから、移民社会になることに不安と期待が入り混じってます。
訓練をつんでいないので、意見の違う相手と対話ができなく、
コミュニケーションがとれません。これは皆の課題です。
子供の発言を保護し、"野性的な個性"を"社会的な個性"に育ててくれる学校環境と、
コミュニケーションの基礎「型」を教えてくれる授業の必要性を感じました。
平田オリザの現場 20 東京ノート 6カ国語版 [DVD]
二段組みの脚本を読んだときには感得できなかったことであるが、様々なグループの会話が重層的に展開するさまが、脚本上は淡々と進むかにみえた劇の進行に動的な効果を与え、観衆にその情報処理能力を最大限に稼動させることを要求する。その他、登場人物の配置や移動関係が複雑なこともあり、本作についてはDVDでもよいから舞台そのものを観ないとやはり駄目であることを納得。
それにしても、日本に名画や難民が避難してくるということは、「平和維持軍」への参加はあるようだが、この戦争では日本は中立ということなのであろうか。いずれにせよ、恋愛や不倫、介護、相続、仕事、学業、帰郷などなど、本作はいわば小市民的な等身大の日本人の姿(諸相)を、例えていえば宇宙のような遠方から「カメラ・オブスクーラ」で切り取った作品であるということができるのではなかろうか。
なお、本DVDには67頁の原作台本が封入されています。
演劇入門 (講談社現代新書)
青学や阪大で行われているワークショップデザイナー育成プログラムで講師であった平田オリザさんにはじめて出会った。そこで演劇ワークショップに出会い興味を持ち、彼の主催する青年団の演劇入門という半年間の講座に参加している。その講座の課題図書としてこの本を読んだ。
人間を扱う科学として、哲学、宗教、演劇というものがあるのではないかと仮説がたった。
特に演劇は、言葉を大事にしている。これは書き言葉ではなく話言葉だ。ここまで書き言葉と話し言葉が違うということを意識していなかった。
演出家という人がやっていることの面白さも本書で知ることができます。
観劇する視点も増えて、人が話す言葉がよく聞こえるようになり、表現をしていきたいと強く思いました。
これからの社会は「参加する演劇」という概念が当たり前になるのではないか。
そこからお互いがわかりあえるコミュニケーションが生まれるのではないか。
そんな期待を持った1冊です。
(追記)
本書が原作として2010年11月にアゴラ劇場で「演劇入門」が上演されました。
入門書が原作という興味深い企画でした。
演出:本広克行、脚本:岩井秀人、キャスト:山内健司・志賀廣太郎・永井秀樹・川隅奈保子・島田曜蔵・古屋隆太・古舘寛治・山本雅幸・荻野友里・桜町元・鄭亜美・中村真生
本書が立体的に理解できた気がします。