ベスト・オブ・ベスト/日本の名歌
歌っているのは、一流のオペラや歌曲の歌い手で、いずれも端正な歌いぶりである。クラシックの好きな人向きかもしれない。
私がこの歌集を買う気になったのは、斉藤佳三の「ふるさとの」が、入っていたからである。母が、生前、この歌を台所でよく口ずさんでいたのを懐かしく思っていたが、改めて聴いてみて、胸が熱くなった。信時潔の「沙羅」が入っているのもうれしい。「海ゆかば」 (私は名曲だと思うが) のせいか、彼の歌をめったに聞く機会がないのを残念に思っている。
「カチューシャの唄」や「ゴンドラの唄」は、出だししか知らなかったが、今回、全曲を聴くことができた。何度も聴きたいとは思わないが、当時の人のものの感じ方に触れることができたような気がして、興味深かった。
ロケみつ ~ロケ×ロケ×ロケ~ 桜・稲垣早希の関西縦断ブログ旅 2 パンダの巻 [DVD]
ここ最近、人気急上昇中のお笑い芸人「桜・稲垣早希」が過酷な条件の中で和歌山潮岬から、京都経ヶ岬を目指す旅ロケ番組を収録したDVD。
声優、石田彰さんが絶賛するこの番組は、ただの旅ロケ番組ではありません。
ロケ中の移動、食事、宿泊などの資金はブログの応援コメントとサイコロによって決められ、場合によっては0円で身動きとれないことも。
そんな過酷なロケをひたむきに続けていく稲垣早希の姿に勇気をもらいます。
旅を続ける中で触れる人の人情。
それを心に刻みつけて旅を続ける稲垣早希は、全ての条件をクリアし、あとはゴールを目指すだけという環境になったとき、スタッフさえ予想していなかった行動に出るのです。
クライマックス直前、稲垣早希の純粋さ、内面の真っ直ぐさに心を大きく揺さぶられます。
彼女がゴールするとき、その感動を共有できること間違いなしです。
「電波少年」や「ご飯リレー」と同じでは?とは思わないでください。
カサカサになった心に潤いを与えてくれるバラエティという名のドキュメントです。
もちろん、バラエティとしても上質であることも付け加えておきます。
M-1グランプリ2007 完全版 敗者復活から頂上へ~波乱の完全記録~ [DVD]
M-1を見だしたのはアンタッチャブルが優勝した頃からで(むちゃくちゃ笑った)、ブラマヨ、チュートリアルと立て続けに面白く文句のない優勝だったので、2007年は途中までは物足りなく、今年は優勝なしでもいいんじゃ・・・なんて思い始めていた。だが、敗者復活のゲートが開き「彼ら」が登場した瞬間「これは何かが起きる」と鳥肌が立ったのを憶えている。
サンドウィッチマンという芸人を見たのはその夜が初めてだったが、いきなり大舞台に呼ばれたのにまったく動じない落ち着きが得体の知れない不気味な存在感を際立たせていた。だらだら見をしていた背筋を思わず伸ばして画面に見入ったほどだ。あくびばかりしていた眠気も吹っ飛んだ。
トータルテンボスは安定していたがややおとなしく、キングコングは必死すぎて見ているほうが疲れてしまった。そこにサンドウィッチマンが登場し、圧倒的な実力の差でお上品なエリートたちをなぎ倒してしまった。
「力のあるものが勝つ」勝敗の行方を見守る視聴者は、単純な答を求めていた。出来レースの噂も払拭するよい幕切れだった。あの清清しい勝利の場面をもう一度見たかったから、へんに脚色されないそのままの放送内容でまた見られてよかった。
隠し剣秋風抄 (文春文庫)
初出はオール読物の昭和53年7月から昭和55年7月。単行本は昭和56年2月。
本書のあとがきは珍しく藤沢周平自身が書いていて、前作の『隠し剣孤影抄』も含め3ヶ月毎にやってくる締め切りが楽しめた、と書いている。なかなか無い感想だ。このシリーズ最後へいくほど面白い。シリーズ最後の3作の『暗黒剣千鳥』・『孤立剣残月』・『盲目剣谺返し(これが山田洋次監督の第3作武士の一分の原作)』は超傑作である。このシリーズと『秘太刀馬の骨』はほぼ同じ範疇でくくれる作品で僕の中では藤沢作品で最も好きな作品だ。
『隠し剣』を習得している武士っていいなぁ、って男なら誰でも思うでしょう、きっと。