量子力学(2) (KS物理専門書)
量子力学の教科書は日本では物性物理の先生によるものが多く、素粒子理論を学ぼうとするときに専門書と量子力学の教科書のギャップがあまりに大きかったと思います。専門外の方が場の理論や経路積分について論じるとき、記述の曖昧さやあるいは間違いがかなりあると感じていましたが、この本であればそれらの基礎をきちんと学ぶことができるでしょう。学部のうちにこの本で基礎をキチンとおさえておけばQEDやゲージ場の理論を学ぶ時、そう苦にはならないでしょう。
量子力学1 (KS物理専門書)
この本は、問題を解きながら量子力学を学んでいくスタイルの教科書である。大学初年度レベルの微積分学と古典(解析)力学、電磁気学程度の予備知識でが要求されているが、内容的にはほぼ入門レベルであらゆる問題が収録されている。著者が素粒子論の研究者であるせいか、対称性の理論など少し高度な問題が若干見られるが、初めて読むときは飛ばしてもよいであろう。これほど多くの問題が収録されている教科書は(演習書は別として)他には見られないし、実用面で役に立つ本であるには違いないが、なぜそのような問題を考えなくてはならないか、得られた結果は何を意味しているのかという議論がもう少しあればいいと思う。特に量子力学は解釈の学問であり、人によって考え方に個性があって良いのである。だからこそ、この本を読むときには(受動的に)問題を解くことに固執し過ぎて、ミクロな現象を定性的に(能動的に)理解するという本来の目的を忘れてしまうことがないように注意して読まなければならない。