雪之丞変化 [DVD]
きれいですね。長谷川和夫もよかったけれど、こちらもようござります。良くも悪くも「東映時代劇」ですから、チャンバラが見せ場なのかも知れません。
橋蔵の殺陣は、腰が少しあとから来ます。これって、日本舞踊の女形独特の動作ですから、「音羽屋!」って思いながら観るのも楽しいですね。
NHK正月時代劇 雪之丞変化 (2枚組) [DVD]
義経のときと同じ監督が滝沢さんの魅力をうまく引き出してくれています。
脇を固めるベテラン俳優陣とのコンビネーションもよく、また、黛監督が「和服を着た現代劇にならないよう、時代考証を大切にしている。」とおっしゃっているように、違和感のない時代劇に仕上がっていると感じました。
個人的には、闇太郎がもう少し元気があってもいいかな、という気がしないでもありませんが、義賊ですから品のある闇太郎も悪くはないかと。
ラストの闇太郎の表情は秀逸です。滝沢さんは、こういった「いろんなものを背負った男の表情」を演じるのがうまいので、このシーンだけ何度も繰り返して見てしまいました。
歌舞伎シーンも、滝沢さんの頑張りが伝わってきます。
丁寧に作られた、いい作品だと思います。
時代劇マガジン Vol.17 (タツミムック)
現在公開中の映画『椿三十郎』(監督・森田芳光、主演・織田裕二)の特集が組まれていたことで創刊から5年目にして今回初めて読破した次第である。以前から気になる特集記事に関してはよく目を通しており、今号で『椿三十郎』による製作総指揮・角川春樹氏、監督・森田芳光氏、主演・織田裕二氏のインタビューで角川氏のリメイク権取得に至った事や森田氏を監督に決定した経緯、森田氏と殺陣師の対談で黒澤明監督の『椿三十郎』に対抗し、殺陣の間合いや呼吸、音へのこだわりへの挿話、織田氏の“椿三十郎”というキャラクターへの思いや意気込みが熱く感じられました。
また2008年秋公開予定の『次郎長三国志』で叔父・マキノ雅弘監督の往年の作品のリメイクに挑む監督・マキノ雅彦(津川雅彦)氏や主演・清水の次郎長役の中井貴一氏のインタビューや撮影現場リポート、共演者も鈴木京香、岸部一徳、笹野高史、北村一輝、温水洋一、大友康平、高岡早紀、木村佳乃、前田亜季、長門裕之、荻野目慶子、竹内力、佐藤浩市(以上敬称略)といった錚々たるオールキャストの大型時代劇で必見であろう。
他にも豊臣秀吉の正室であり、戦国の乱世を生き抜く女・淀君(茶々)の波乱に満ちた半生を描いた現在公開中の映画『茶々-天涯の貴妃(おんな)』(監督・橋本一、主演・和央ようか)や今まで幾度となく映画化されてきた人気のダークヒーロー“座頭市”が女性となって蘇える『ICHI』(監督・曽利文彦、主演・綾瀬はるか、2008年公開予定)も楽しみである。
最後に『必殺仕事人』で錺(かざり)職人の秀役で人気を博した三田村邦彦氏のインタビューで本当は人殺しの役が嫌で撮影期間中、夢にうなされたり、身体に発疹が出るなど当時の苦労話を語られていました。それでもプロデューサーの一言が三田村氏の気持ちを変え、『必殺』が長寿の人気シリーズとして支えられたことがよくわかりました。
雪之丞変化 [DVD]
この映画は長谷川一夫出演300本記念作品と銘打ってあるオールスターものである。1935年の当たり役を再び持ち出した形だが、市川崑監督独特の映像の「お遊び」が目立ち、オールスター映画独特の華やかさは逆に感じられない。あくまで市川監督の繰り出す映像スタイルを楽しむような映画と印象が強い。往年を知るオールドファンはそれが不満だったと封切り当時を知る人から聞いた。しかし、私はこの映画はたいへん面白いと思う。暗闇で刀と刀が火花が散ったり、捕り縄がピンと張られ先がどうなっているかわからないというような趣向は、オールドファンは面食らうだろう。市川雷蔵扮する昼太郎はこの市川作品のオリジナル・キャタクターでコメディ・リリーフにしているのも面白い。悪役の中村鴈治郎は貫禄充分で所作も流石である。ラストシーンには徳川夢声のナレーションがまた秀逸、その語りぶりは惚れ惚れとする。