青い空を、白い雲がかけてった―Hiroshi Asuna memorial edition (Beam comix)
私がこの作品に触れたのは、小学校1~2年生の時でした
当時は他の漫画が目当てで掲載誌を購入してたのですが
この作品は私にとって所謂「読み飛ばす」作品でした。
しかし20年以上が経過した今でも心の片隅に断片的に
記憶として残って居たので「何かがある」と言う思いもあり
じっくり読んでみようと思い立ちました。
切ない・・・決して悲しい話ばかりではないのだが
何故か切ない、なんかこう胸がギュ~っとなる切なさがある
読み終えた後自分の中学生時代をつい振り返ってみて
あの頃にはもう戻れない事を再認識させられて更に切なくなりました。
青い空を、白い雲がかけてった 完全版 上 (ビームコミックス文庫)
中学3年生のツトムと幼なじみのヨシベエ(女)、
担任の夏子先生やクラスの仲間達、ツトムの両親・・・。
ごくありふれた設定の、ごくありふれた日常を描いていながら、
子供と大人の狭間で揺れ動く年代の
多感な心情を実に繊細に描いていて、
読み終えた後に、爽やかな風が心の中に吹き抜けていくような、
こんな作品は、他に無いと思う。
決してメジャーな作家・作品ではないと思うけれど、
雑誌掲載から30年も経って「完全版」が出版される、というのは、
この作品の持つ魅力が今も失われていないからだろう。
青い空を、白い雲がかけてった 完全版 下 (ビームコミックス文庫)
ある冬休みの朝、たまたま道で出会ったツトムに
幼なじみのヨシベエ(女)は、こう尋ねる。
「あんたにとってのあたしって何?ただの幼なじみ?」
それに対してツトムは、
「あらたまってそうきかれると困るなあ」
と誤魔化すのだが。
家に帰って、一人コタツに入りながらツトムは、
「女の子にあらたまってあんなこときかれてさ
好きだよ、好きなんだ・・・なんてさ
キザで、照れくさくって、言えますかってんだよなあ」と呟く。
もう、何十年も経ってしまったけれど。
あの頃の僕は、あんな感じだったよなあ・・・と思う。
キラキラと光るような、真っ白な青春。