菊亭八百善の人びと〈上〉 (中公文庫)
戦争直後、嫁に行ったら老舗の料亭をやることになちゃった一人の女性の話。
古い時代の話であるにもかかわらず、生身の同じ人間であることが感じられたのはよかったが、店の経営も、嫁姑関係も、夫の浮気疑惑も、どれも満遍なく淡々とした印象であったことが残念。
上巻は店を再建し、夫に浮気の疑惑がかかるところで話が終わる。
下巻に向けてたくさんの謎がここでは放置されたままになっているのでやっぱり上下巻続けて読みたい。
只自分は二十歳なのだけど、全然違和感なく読めた。
文庫本に印刷された字も普通より大きく読みやすい。
菊亭八百善の人びと〈下〉 (中公文庫)
美味しい物に目のない著者が、エッセイでも色々な食べ物や料理について書いているが、料理や料亭について書いてみたいと考えていたところ、栗山恵津子著の「食前方丈」という本を見つける。
副題に"八百善ものがたり"とあり、江戸時代初期創業の高級料亭「八百善」が伝説の中でなく、幾度かの危機を乗り越え銀座に今もあり、恵津子がその九代目であることを知る。(この八百善の歴史の部分は少しややこしく分かりにくい)
本人に会って小説化を約束、二年後新聞連載に漕ぎつけ電話した時は、一年前に亡くなられていた。
小説の主人公汀子が八百善の福二郎と結婚、戦時中閉じていた料亭を再開し苦闘する物語だが、同じ作者の盲目の少女烈が、家業の酒造りを再興すべく奮闘する「蔵」とどこか似ている。
料亭に関する小説でありながら、料理の詳しい叙述を避けたという著者の言だが、現在の過剰なグルメ志向に対する批判でもあろうか。
八百善の古くからの板前を始めとする使用人と、素人である汀子の係わり合いが面白く読ませる。
菊亭 八百善の人びと-全集- [DVD]
DVD化待ち望んでいました!近年稀に見る秀作です。このドラマと同時期の月9はキムタク主演の話題作でしたが、「菊亭八百善の人びと」の初回を見てハマってしまった私はこちらを全7話見続けました。戦後間もない東京を舞台に、老舗料亭の女将となった女性の奮闘と時代の移り変わりを描いたドラマです。江戸時代から続く老舗料亭八百善の女将に突然就任することになった汀子は、右も左もわからない世界でそれでも料亭を立て直そうと必死にがんばります。しかし時代は流れ、粋を売りにする八百善の存続は危ぶまれ…。料亭を再建させようと、たくましくなっていく主人公を演じる夏川結衣さんの演技がすばらしいです。今まで特に意識することのなかった女優さんでしたがこのドラマで好きになりました。キャストは若旦那に吹越満、その他金子昇、井川遥、杉浦直樹、橋爪功など脇役も豪華で見ごたえがあります。結構ほろりとなる場面もあるのですが、そうさせてくれないのが女将と若旦那のコミカルなやりとりです。個人的には、毎回登場する二人の夫婦喧嘩シーンが楽しみでした。見終わった後には続きが見たくなる、きっとお気に入りになるドラマです。