KOEI The Best 七つの秘館
作家の志茂田景樹さんが原作で、しかもゲーム内に実写で登場するということから、奇ゲーとして避けていました。しかし、プレイしてみると、意外にも基礎をしっかり抑えたアドベンチャーの良作でした。謎解きは難しすぎず、それなりに雰囲気もあり、さくさく進んでテンポが良いです。ストーリーは無いに等しいのですが、変に電波なストーリーがくっついているよりはマシだと思います。アドベンチャーが好きなら、時々実写で出てきてぎょっとさせる志茂田景樹さんに注意して、遊んでみるのも良いのではないでしょうか。
黄色い牙
阿仁マタギを題材とした熊谷達也『邂逅の森』が注目されているが、私は四半世紀前の直木賞作品『黄色い牙』を思い出していた。2000年8月、阿仁町打当のマタギ資料館のガラスケースに文庫本を展示していたが、手にすることはできなかった。今回改訂新版を読んで、これこそ阿仁マタギを描写した文学だとの感を深くした。
阿仁町根子の更に奥、露留の里(露熊マタギ岩が現存するが)を舞台に設定し、巻狩りの様子、人間関係、稲作農業に頼らないマタギ生活を感動的に描き、旅マタギの途中で宿敵の渡り巨熊「鬼黒」との遭遇、鬼黒との決闘とも呼べる終末場面もすばらしい。