わすれな歌 [DVD]
続けて三回観て、観終わった後も、しばらく余韻に浸っていた。ストーリーと出演者・演技の両面に惹かれた。主人公のペンは、妻や子どもと暮すことが何よりの願いでありながら、運命の悪戯か、努力が全て裏目に出て、連絡も取れない放浪状態になってしまう。彼の行動は無責任と責められても仕方がないだろう。私自身が妻サダウの立場になればやはり困惑や失望、あきらめといった感情が湧くだろう。しかし、「忘れないで」と泣きながら歌う切なさにほだされ、ペンをいとおしくも思えてくる。ラストシーンを含め、サダウの気持ちの動きに充分、共感できるのである。
もっとも夫婦の在り方は百人百様、タイの男性が全てペンのように頼りなく、女性に忍耐を強いる行動をとるということは、おそらくあるまい。それと同様、タイの男性の全てに、恋人時代のペンがサダウにささやくような甘い言葉を甘い抑揚で、ということは期待できないのかもしれない。文化をひとつの映画によって想像すると誤ったステレオタイプを持つことになるかもしれない。そうは思いつつも、異国の恋に充分酔わせていただいた。
ペンを演じるスパコン・ギッスワーンは、歌もうまいし、身体的にも鍛錬をしているようである。彼はまた、シーンに自分を解け込ませることができる芸達者でもある。髪型、服装によって別人のように見えるぐらい、シーンに合わせて自分を変えることができる。これは、サダウ役のシリヤゴーン・プッカウェートにも共通して言える。ラストシーンで見せる彼女の表情は娘時代のくったくない笑顔とは対照的で、切ない。
Auf Fl u geln des Gesanges/歌の翼に
NHKの深夜放送で聴きました。心に残ったので、購入して聴きました。今の私たちは世界の一流の歌手の歌を簡単に入手し聴くことができます。そして分かったような気持ちになります。この畑中さんの歌はそれらと較べますと、良くはないです。しかし、これが歌を歌うことの真摯な態度というのでしょうか。真面目な世界があることを知らされます。聴いて、良かったなと思います。