アメリカの民主政治〈下〉 (講談社学術文庫)
19世紀、フランス人 トクヴィルがアメリカを訪れ、多くのアソシエーションやコミュニテーという、コミュニティーが社会の中で公共政策を実行の担い手となっているのを目の当たりにした。トクヴィルのいたフランスではその実行を政府が行い。イギリスでは大領主が行っていたのである。そして、そのような社会からアメリカに渡り、祭りのため・神学校・教会・病院・刑務所をつくるため、コミュニティーをつくり団結する様子は、新鮮であったのあろう。「国よりも先にコミュニティーがあった」との指摘が端的に表現している。当時の小さなデモクラシーの状況を知るには秀逸。
アメリカの民主政治(上) (講談社学術文庫)
著者はフランス革命後の半世紀を生きたフランス人であるが、西欧社会における政治や社会の変化がアメリカという新世界で展開していく状況を観察して、民主政治の本質を見極め、その社会理論を導き、その重大な欠点としての「多数者の専制」を洞察した。現代社会にも多くの有意義な示唆を与える古典。
書中の印象文例を二つほど紹介してみます。
・アメリカでは古くからあったものは”自由”で”平等”は比較的新しい。これはヨーロッパとは逆である。
・新社会は日に日に変貌しているが---人間は孤独で不毛な小さな運動に力を消耗し、人類は絶えず動いていながら少しも進歩しないことを恐れる