GOSICKVII‐ゴシック・薔薇色の人生‐ (角川文庫)
角川文庫だけでなく、挿絵があった富士見ミステリー文庫も通しての"GOSICK"の完全最新刊です。
かつてのソヴュール王国の王妃、ココ=ローズ。王国の一輪の花として国民の熱狂的な支持のもとにあった彼女が10年前に何者かの手によって殺害された。
この前代未聞の事件を解決するために、ヴィクトリカは彼女の父であるブロワ侯爵に招集されるが・・・
今巻でヴィクトリカが挑む事件は今までで最もインパクトが大きく、陰謀が絡んだものとなっています。ブロワ侯爵率いるオカルト省や科学アカデミーの思惑、今まであまり描写されることがなかったコルデリア・ギャロの過去とその心理など。そして、物語の後半では驚くべき人物の、悪意が露呈します。
この巻では、ヴィクトリカと一弥の行き先を強烈に示唆するとともに、二人の絆が強まっていくことが再確認できる場面が見られます。しかし、この先に巨大な事件が待ち受けるであろうことも暗示しており、物語はクライマックスへと一気に加速していく気配を見せています。
数年ぶりの書き下ろしである今巻は、とても期待していた半面、世界観やキャラクターの描写にブレが出るのではと少し心配していました。しかし、この考えは杞憂であり、戦間期というきな臭いながらも独特の魅力を持ったヨーロッパの世界観と確立した個性を持ったキャラクターが桜庭先生の表現力豊かな腕前によって描かれています。
4月より刊行される角川ビーンズ文庫版の"GOSICK"には挿絵が付くようですが、歓喜しているのは私だけは無いと思います。文章だけでも一つの作品として十分に面白さを堪能できる本作ですが、武田日向先生の美しい挿絵が備われば一つの芸術作品として完成する、といういうのは私の言いすぎでしょうか?それほどまでに、武田先生の絵とこの"GOSICK"はマッチしており、本作が支持される理由の一つと考えています。
ドラマCD やえかのカルテ 初回限定版 2枚組
南央美は天真爛漫なやえか役。氷上恭子はそれを見守る優しく賢いお姉さんの芹奈役。久川綾は2人の研修先の動物病院で院長をしている鈴乃役。やえかの親友でか弱い水葉役の斎藤千和は、珍しくおとなしい系のキャラで『ココロ図書館』以来かな。芹奈にライバル心を抱く周役の大原さやかはお得意の激しい性格で、それをイジる真琴役の生天目仁美は大人びた感じ。動物の心がわかる不思議少女の役を演じる新谷良子は珍しく暗い役。渡辺明乃は芹奈に憧れる爆走少女の珠貴役。他4名。
初回限定版は2枚組になっていて、2枚目CDには、やえかと芹奈がゲストを迎えて送るラジオ番組全7回と、ショートドラマ全3回、さらに、キャストたちが動物にまつわる話などを披露する出演声優座談会が収録されています。
ドラマCD「エン女医あきら先生」
まんがタイムジャンボ(毎月4日発売)、
まんがタイムスペシャル(毎月22日発売)
で連載中の人気作品遂にドラマCD化
キャスト
日向 旻:三石琴乃
野呂 歩:半場友恵
日向 海尋:たかはし智秋
原 新一:高橋 秀
海景 潮:武田 華
沢咲 みさき:小石友里絵
沢咲 悟:久保山瑞穂
沢咲 ミカ:武田華
香坂 ユミ:福圓美里
瓦木 昌子:久保山瑞穂
本編にはほとんど登場していない海景 潮が登場しているのがみそですね。原作コミック6巻のあのシーンまでをドラマCD化しています。
chapter
1 SCENE1/おっちょこちょいな日常
2 SCENE2/千客万来
3 SCENE3/ああ勘違い
4 SCENE4/野呂先生倒れる
5 SCENE5/2人の距離
6 SCENE6/デートの夜
7 SCENE7/恋の危機?
8 SCENE8/ハッピーエンド
9 SCENE9/ボーナストラック
CDジャケットは当然、水城先生の書き下ろし!CD未登場キャラクターもジャケットにアニメタッチで描かれています。
ボーナストラックは豪華声優陣による収録語の感想?テーマは病院の思い出です。
この調子で今度はアニメ化に期待大ですね。
GOSICKII‐ゴシック・その罪は名もなき‐ (角川ビーンズ文庫)
シリーズ2冊目…ですが、時間軸的には短編集の中に先んじる事件がありそうですね。
全部読み通したら、1作目のレビューに順番を書いてみようと思っています。
今巻の舞台は、森の奥深くに眠る文明から隔絶された村。
前巻の船中と同じく、閉ざされた世界で事件は起こります。
やはりトリックは簡単過ぎるきらいがありますが、文章は
「頬が切れるほどの張りつめた静寂」や「闇に溺れる床を照らし出す」など、
この作者らしい美しさが出てきています。
後半は少々単語の重複によって文体の簡潔さが損なわれていますが…
えー、ちょっと引っ掛かった所は…ヴィクトリカ怪力過ぎ!
あと、ヴィクトリカやグレヴィールの中で、どうしてアブリルだけア“ヴ”リルじゃないんでしょう?
綴りとしてはアヴリルが正しいと思うんだけどな…瑣末な事ですが。
10代向けか、所々ふりがながふられているのですが「好事家」にはない。大丈夫なんでしょうか。
10代といえば、このシリーズは旧版のイラストのファンが多いようですね。
最初に出会ったイメージが(それが良いものなら余計に)壊されるのは誰だって嫌ですが、
このシンプルな新装版になってからしか手に取らない人が居るのも理解して下さい。
1冊目のレビューにも書きましたが、『十二国記』のように表紙を無機質にして読者層を開拓した例もあります。
また、私が友人に勧められて読んだ『アリソン』は、いい作品なのに表紙で読者層を限定してしまっています。
今巻ではラストに近付くにつれ主人公たちを包む空気が清々しくなり、
「あっという間の順応」(ここも重複だけど…)には、若者らしい希望を見せてもらいました。
【Amazon.co.jp限定ヴィクトリカ コルクコースター付】 GOSICK-ゴシック-BD版 第1巻 [Blu-ray]
桜庭一樹作品超大好きです。愛してます。
このアニメ版GOSICK、どうせコミック版のトレースでやるんだろうなぁ・・・。とか思っていましたが、
原作小説を少ない話数で、分かりやすく再構成してあり、原作既読の人でもワクワクしながら観る事ができました。
作画も原作挿絵の武田日向さんのキャラデザを忠実に再現しようとしているあたり、製作スタッフの意気込みを感じます。
んで、この小説自体、まだ完結していないと思うのですが・・・。
アニメ版のラストに期待が高まります。
これが起爆剤になって、桜庭さんが続きを書いてくれることを願うばかりです。
特に「君はこの階段を腿をだるぅくしながら〜」っていうヴィクトリカの台詞が良かった。
「少し」→「すこぅし」みたいな、桜庭さんの文章のこだわりまで再現してくれるとは・・・!
ライトノベルらしさを前面に押し出した、良質な作風だと思います。
ただ、やっぱりもっと良心的な売り方をして欲しいかな・・・。