マナサス
個人的にこのアルバムはザ・バンド諸作よりもオールマン・ブラザーズよりも
アメリカン・ルーツ音楽への興味を膨らまされたアルバムです。
カントリーロックの名手を一度に揃え、更にラテンロック色、
当時のストーンズのようなスワンプロック色も取り込んでアメリカンルーツ音楽の展覧会のような趣。
楽器もペダルスティールやらフィドルやらパーカッションやらエレピやら
気持ち良い音をどんどん詰め込んでいったような作品です。
それでいてマニアックな趣向になるわけでなく非常に聞きやすい。演奏もさながら曲も佳作揃いです。
CSNYのような1度聞いたら忘れられないような歌中心の路線ではありませんが
何度も聞くに堪えうる作品は数多く収められていると思います。
アメリカンルーツ音楽に興味ある人は是非聞いてみてください。
complete single collection ’97-’08
ブリグリに関してはド素人です。「そのスピードで」が聞きたくて購入しましたが、その他の曲もツボで、大正解でした。
ボーカルの儚い感じと、ギターの重厚感の、絶妙なバランスが何とも言えません。早すぎないテンポもイイです。
コアなファンの中には、最近の曲は初期のインディーズ色が失われて残念、という方もいらっしゃるようですが、私はどちらも好きです。
中国黄土高原―砂漠化する大地と人びと
中国では現在も年平均で神奈川県の面積に相当する地域が砂漠化しているという。その最たる現場が黄土高原。ここではなんと、人々が生活のために農業を営むことによって砂漠化が急激に加速されているという。 本のはじめには、黄色い大地の断崖絶壁の上に農民がしゃがんでこちらを眺めている写真が載っている。絶壁の上には畑が耕され、羊が放牧されている。なんとも不思議な光景だ。牧歌的な風景とその前面にある不毛の地。農民にはその絶壁は見えていない…。 続いて、黄色い不毛とも思われる大地に生活する人々の農作業や暮らしの様子が写真によって描かれていく。 著者は山形の農家出身で長年、日本やタイの農業問題を、農民の農業や作物への思いを基底として描いてきた写真家だ。写真に添えられたキャプションや解説を読んでいくと、黄土高原にすむ人々が営む農業や放牧によって大地が破壊されていくことが理解できる。その内容は衝撃的である。美しい段々畑は著者によれば『貧しさの風景』だそうである。牧歌的な風景の裏にあるのは、おそろしい地球規模の自然破壊だった。しかし著者の視線は農民に対する共感を忘れていない。 撮影地は中国の未開放地区であったため、著者は日本のNGOの植林活動の一員として取材を行った。5年をかけた異色の労大作。