孤独のグルメ 【新装版】
孤独のグルメ、大ファンです。独特の雰囲気、世界観に引き込まれてしまいます。
全18話+特別編に作者の対談が収録されています。
内容は1話完結で各8Pと短いですが、中身がぎっしり詰まっている感じで上質のエッセイ
を読んでいるような感覚になれます。全編に詩的な雰囲気が漂っています。
また作画がとても丁寧で職人の仕事ぶりが感じられます。これも新装版の大きな魅力の一つだと思います。主人公の食べっぷりが豪快でとても美味しそうです。
気の利いたセリフも魅力的です。一番のお気に入りは横暴な店主に主人公・井之頭五郎が放った一言・・「あなたは客の気持ちを全然まるでわかっていない!モノを食べる時はね、誰にも邪魔されず自由でなんというか救われてなきゃあダメなんだ。独りで静かで豊かで・・」
シビれます(笑)・・こんなセリフは彼でなきゃ言えません。
なかなか難しいのでしょうがどうしても続編の刊行を希望してしまいます。この世界にもっとどっぷり浸かりたい・・。
とにかく面白いです。漫画ファンならずとも是非一読をお勧めしたいです。
ふらり。 (KCデラックス)
江戸の町を歩数を数えながら散策する壮年の男性が主人公
時には、鳶、猫、亀 等等の視点になったりもします
彼は何故、歩数を数えながら散策をするのか
その目的はぼかしながら話は綴られます
(主人公の名も伏せられています)
おそらく、彼は伊能忠敬なのだろう
地図作製の為の測量の旅を描くのでは無く、
それ以前の雌伏の時を描いているのがさすがだ
ゆったりと江戸の町を歩き、
時には飲み喰いをする様子が情緒豊かに描かれています
孤独のグルメ (扶桑社文庫)
モノを食べる時にはね、誰にも邪魔されず
自由で、なんというか救われてなきゃあダメなんだ
独りで静かで豊かで…
このセリフ!まさに期待通りの久住昌之。
私は「芸能グルメストーカー」から流れ込むようにこの作品に触れた口なのですが、
06年10月時点で実に第14版、作品の息の長さが伺えます。
「ダンドリくん」「かっこいいスキヤキ」等、日常性の中に潜むおかしみを
ダンディズムを交えて語ってきた久住昌之氏と、
狩撫麻礼・メビウス・夢枕獏など錚々たる面々の原作を手がけてきた
職人・谷口ジロー氏の(一部漫画好きにとっての)夢の邂逅。
明確なオチやストーリーなどはありません。
盛り上がるでもなく、しかし決して退屈にもならず、
久住氏の重箱の隅を突くようなこだわりと谷口氏の超精密な絵でもって流れていきます。
それがもう、どうしようもなく、いい。こんな贅沢な漫画もそうそうありません。
ただし、「一家に一冊」という類の本ではないですね。
男がひっそりと独りで読むような、ある種の隠れ家的愉しさに満ちています。
男の本棚に、静かに一冊。