BREAKING GENERATION
当時高校生だったメンバーが、たった1年弱の間に全てのオリジナル曲をつくり、月に何度もライブをこなした。自分達でチラシ(今はフライヤーって言うんだっけ)をコピーし切り貼りし、レコード屋に置き、ライブハウスの外で配って告知した。タバコの煙と大声じゃないと聞こえない会話の中で、パンクの音が踊ってた。ルート66は、キャッチーで楽しい曲ばかりだ。これが当時高校生だった彼らがストレートに、70年代パンクの音にのせてくるんだから、カッコ悪いわけがない。決して巧くないけど、最高にピカピカで怖いくらいにカッコいい。7月には当時のメンバーでライブをやるらしい。あの頃のライブハウスを感じることができる絶好の機会がくる。
高砂コンビニ奮闘記 -悪衣悪食を恥じず-
「本の雑誌」でこの本の事を知り驚いた まず本コンビニが我が故郷である葛飾高砂に有る事、高砂が舞台になるノンフィクションなんて52年生きてきて初めてである。(その意味では 高砂に生まれ育った方は是非手に取って頂きたい本である・・!)この著者のキャリアを見るとまずその学歴のクオリティに驚かされる、ご多分に漏れず私もガクゲイ大とゲイ大の区別がつかなかったが、東京芸術大学というのは大層レベルの高い学校だそうだ そのような学校を四年間奨学生で過ごした美術専攻生徒さんが(ヴァイオリン、ギター、キーボード演奏のセミプロでもある) やがて推理作家として有名な賞を受賞し世にデビュー
しかし現実商売の俗徒と戦ううちに 出版業界から干され流浪 50代半ばでMSコンビニ高砂店で週3回の深夜バイトにまぐれで拾われた、(これ確かにマグレなのである、何しろコンビニのアルバイトといっても今は競争率4〜5倍もああるのだそうだ)本書はその奮闘の日々を閉店まで綴った物語りである。 まず高砂という町は芸術的なインスピレーションを得るにはほぼ100パー不適格な町だと思うが 所謂底辺人種の吹き溜まりというわけでもない。近くを流れる中川の土手を散策しても大して面白くないのだが郷愁を誘わない訳でもない つまりキッチン吉井以外名物はなにも無いが 生活するには駅前にでかいヨーカ堂も有るしパチンコ屋も有るし都市銀行は有るし、要するに大して不便は無い 最大の自慢は都心(と言っても上野だが)までのアクセスが良い事か、なにしろスカイライナー以外全部停車するのである。エヘン! そんな町のコンビニになぜ作者である森氏が流れついたかは、やはり芸術を生業として選んだ氏の悲しい性のなせるワザであろうか。 いまの若い人たちは新卒でさえ就職儘ならないようだが 例え就職出来たとしても過酷なふるい落としが待っているのが現実社会である 本書はコンビニ就労の内情だけではなく其の辺の事が具体的に読み取れるのが若い人に参考になるのでは無いか 例えば寄せ集め軍団は組織として成長成熟しないとか(だから質の良い会社は世間の垢のついた人の採用に消極的)退職者にステップアップは無いとか(コンビニ本部で従業員教育総監だった人でも 今は同じ一介のアルバイト)仲間のオバチャンに嫌われたら上司に碌な評価してもらえないとか その上司も不適格者が多いとか 期待値を標準値に見立てた独立はリスク大だとか、(何しろ次から次へとオーナー経営候補の人が研修にMS高砂に来る、今でも飽和状態なのにやがて信号の数よりコンビニの方が多くなると作者は考えているようである
マン島物語―森雅裕 幻コレクション〈3〉 (ワニの本)
森雅裕さんのオートバイ小説は、自分が乗っているような気分になれます。マン島TTレースを少しでも映像で見ていればなおさら。
レース好きな人には一度読んで見て欲しいです。
ただ、主人公たちの皮肉な言葉やちょっとひねった表現が嫌いだとキツイかも。
椿姫を見ませんか (講談社文庫)
オトヒコくんとヒロミさんて21世紀には少ないタイプのカップルですね。なんか70年代の青春もののTVドラマを見ているような清々しさと懐かしさを感じます。森さんの描くキャラクターってみんな口が悪くて素直じゃないけど、知的で心が真直ぐで正義感が強い。そして一抹の孤独感を抱えている。この2人だけじゃなく、ベートーベンもチェルニーもみんなそう。読後感がとても爽やかで心が暖かくなります。このシリーズ全制覇したい。