狂い咲きの花 (3) (Wings comics)
今日この本が届きました。
3巻が出てるのを知らなかったので…
この3巻はかなり修羅場です。悪魔のオロロンの3巻と4巻を
彷彿とさせるような…戦いのシーンです。
新しいキャラも出たり、巻末に回想漫画があったり…と
盛りだくさんです。緊迫したシーンの中でも笑いがあり、
とても独特な絵と世界感が見事だなぁと思います。
この本を友人に貸したとき、友人は「悲しい漫画だね」と
言いました。確かに悲しい。
でも私はそれ以上に「愛しい」と
思います。キャラクターに感情移入して涙が出てくるほどです。
この巻ではそこまで泣かなかったけど、とにかくキャラが愛しくなりました。
高学歴ワーキングプア 「フリーター生産工場」としての大学院 (光文社新書)
筆者の水月昭道氏は龍谷大学中退後、バイク便ライダーとして働いた後、長崎総合科学大学を卒業し、九州大学大学院博士課程を修了して、人間環境学博士の学位を取得した方です。
以前なら博士号はなかなか取得できませんでしたし、特に文系では、大学内でも学会においても一定の評価を受けていました。学位の値打ちが下がったとはいえ、博士号を取得すれば、大学の専任教員への就職の道は比較的容易な頃もありましたが、著者の記述どおり、ここ10年以上、多くの博士が世に出ても、大学自体が厳しい競争環境に置かれている時代に突入しており、就職の道が狭き門になっているのは不運なことだと同情します。
学問への関心が個別分散化していき、筆者の取得している「人間環境学博士」のように学際的な学位も増えました。特異な学問への傾倒は学者として必要な要素ですが、こと就職にあたってはそれが足を引っ張ります。今も昔も博士後期課程への進学はリスクを伴うものですから、本書のタイトルも実態を表している面があります。
ただ通読して感じたことは、指摘されている点はよく理解できるのですが、残念なことにどうしても身近な限られた人の伝聞記録でしかなく、実際どの程度博士号を持った人が就職できていないのかという実態を示すデータが少ないため、事例報告に終わってしまっているのが残念です。
「高学歴ワーキングプア」という刺激的なタイトルにより本書は一定の購買数を残すと思いますが、それも筆者の専門である環境行動論の業績として点数に含まれるのでしょうか。もしそうであれば本書執筆の値打ちはあったと言えましょう。
ホームレス博士 派遣村・ブラック企業化する大学院 (光文社新書)
この本に関しては、いろんな人がいろんなことを言っているし、前の本もあるので、あえて皮肉な視点から書いてみる。
大学院生の数が増えすぎたので、研究者としてのポストが不足しているというのは、そのとおりなのだろう。しかし、著者の言うように(研究職以外の)一部の仕事で修士や博士の学位を義務化する、ということになったら、学位を持たない人がその仕事から閉め出されるだけで、社会全体としての失業率が改善するわけではない。もたらされるものは、大卒の相対的低学歴化だけだ。
そもそも、学問は収入の役に立つとは限らない。発祥から考えれば、役に立たない「教養」を身につけるところが大学の本質であって、工学部や経営学部のような実学的分野ができたのは後のことだ。給料に手当を付けてもらいたいなら、専門学校に行って資格を身につけた方がいいのは、すでに1980年代から言われていた。
著者も指摘するように、研究者としての道を歩きたいなら、東大か最低でも旧帝大系の大学院を出なければならない。私大を選ぶならば、その大学にしがみついて、生え抜きとして一生を送る覚悟が必要だ。なぜなら、自校より格下の大学からの教員採用はどこの私大でもほとんど行っていないからだ。おそらく、大学院に通う当の学生は、そんなことは先刻承知だろう。美大に通うほとんどの学生が、画家で食べていけると思っていないのと同じだ。
より本質的問題は、高齢の人の収入確保のためにより若い世代が犠牲になっているという日本全体の問題だ。その文脈で見たときは、多くの私大の大学院に通う学生(ほとんどはプロの研究者を目指していない)は、教育投資という名目で、親の世代の金を無駄遣いさせて社会に環流させているという皮肉な役割を担っているのかもしれない。