リングス・アラウンド・ザ・ワールド
やはりここでも言われているように、ファーリーの最高傑作はこのアルバムで不動ですね。
まず他の作品と比較して、テンションが違う。一曲ごとの緊張感、そして楽曲のバラエティ、そのどちらをとっても素晴らしい。
さらにアルバム全体の底流をなしている大きな、包み込むような愛。それはこの作品がとりわけ時代を映し、その影響を全身で受けとめていることの傍証だと思います。
テーマが明確だった最近の2作とは異なり「主題」を必要としない、それでいて楽曲たちが自ずから、大いなるものの方向へ収束していく感じは堪りません。
心に何らかの核心/確信がサプライされたような、聴き終った後の温かい感覚。
数年経った今も、月に1度は引っ張り出して聴いています。
ゲリラ
英国はウェールズのカーディフ出身、「Emily」「Ffa Coffi Pawb」といったバンドのメンバーが集まって1993年に結成、当初はテクノ指向のサウンドでしたが、徐々に同郷の「Gorky's Zygotic Munch」あたりと共通するスタンスのスペーシーなサイケデリック・ロック的サウンドへと進化します。これは1999年にリリースされた3枚目のアルバム。ここら辺でちょっと原点回帰というか、初期のテクノ・ライクなサウンドへと再び取り組みますが、ここでも真のオリジネイターぶりを発揮、チープなテイストのオールド・スクール・テクノの手法を用いて、初期とはちょっと違うぞって所を見せつけられます。そして前作にも感じられた抑揚感のあるサウンドがさらに深みを増し、パンキッシュなテイストのストレート・エッジなサウンドから、ピコパコしたエレ・ポップ、奇妙な電子音が鳴り響くスペイシーなチューンまで飛び出します。そんな中で一番目立っているのが、牧歌的とも言える哀愁味溢れるレイド・バック!したサウンドで、ここら辺がバンドの個性となりつつある感じすらします。相変わらずの雑食性でもって多種多様な表情を見せるSFAのマジカル・ポップ・ワールド、ハマると抜け出せませんよ。傑作です!