ハンニバル・ライジング 完全版 プレミアム・エディション [DVD]
いつか原作を読んで見たいと思いながら、このシリーズ始まって10数年、一度も手にしたことはない。それだけ、映画に満足してきたということだ。
今回はハンニバル・レクター博士の幼少のことを描いている。もちろん、怪物誕生の秘話ともいうべきものが期待されている。彼の必殺の武器である人肉を引き裂く凶暴なあごの起源がそこにある。
しかし悲しいことか! 今回は彼を怪物に目覚めさせるには凡庸な悪党しか登場しない。キャストみなが凡庸である。「サイコサスペンス」というには物足りない。だがそれはなぜか。
彼らのような凡庸な行動パターンをする人間たちの背後にあって、彼らを凶暴に駆り立てた諸悪の根源が今回は描かれているからである。その前にしてはどんなサイコでも影が薄らぐというものだ。
バルト三国の一つリトアニアはナチスとソ連が支配の綱引きをし、それに煽られた地元の不良農民たちによって旧勢力(封建貴族)やユダヤ人たちが翻弄され、殺戮された歴史がある。怪物はそのような歴史が生んだのだ。映画冒頭部分でそのように描かれていたように思う。怪物誕生の物語とは存外、歴史の彼方に吸収されて人間への焦点がボカされるのが宿命なのかもしれない。
それにしても日本は国内が安定しているためか、海外に飛び出す人間が少ないのだろう。わたしが生まれてこの方、いつまでたってもマダム・ムラサキのようなヘンな日本人しか映画には登場しないのである。TV版「バットマン」のアシスタントだったカトー少年をブルース・リーが演じていたというのは有名である。
ハンニバル・ライジング 上巻 (新潮文庫)
怪物と言われるハンニバル・レクター博士の少年時代を描いた作品。どうやって怪物が出来上がっていったのか、その生い立ちを追っていくのだけれど、やっぱりわからない。この人は、生まれついての怪物だったんじゃないかと思わせられる。
第2次大戦で、親や家族を失ったり、自分自身も悲惨な目にあった子どもはたくさんいるだろうが、そのすべてが怪物になったわけではない。ハンニバルはもともと彼の中に怪物が棲んでいて、それが表に出てくるきっかけになったのが戦争による家族の死と紫夫人の出現だったのではないかと思う。この二つがなければ、彼の中の怪物は目を覚まさなかったか、もしくはもっと遅くなってから現れたのではないかと思う。
何のためらいもなく人を殺す男。しかも、切り刻んだり、その相手の肉を自ら食べたり、普通に考えたら吐き気を催すような恐ろしい人間であるのに、なぜだか彼には嫌悪感を感じない。なぜだろう。彼自身の美意識に共感するからだろうか。
この上巻では、家族と家庭教師のやコフ先生と過ごした時代と、叔父に引き取られてから紫夫人と過ごした日々を通して、どのように彼の人格が形成されていくかという点が読んで取れる。ある意味、この怪物を作り上げたのは紫夫人なのではないか。そんな風に感じた。
ただ、今までにハンニバル作品になじんでいると、ちょっと毛色の違った作品ではあるので、違和感はあるかもしれない。これまでの流れとは切り離して、「番外編」として楽しむ作品だろう。
キネマ旬報 2007年 5/1号 [雑誌]
阿部寛特集非常に良いです。最近「大帝の剣」や「アジアンタムブルー」、「トリック」などの映画や「ドラゴン桜」、「結婚できない男」などのいろんなドラマで俳優としての個性を出している
阿部寛。 彼自身の役者としての5年後、10年後がどういう個性を持った役者になるのだろうと思うと楽しみです。これからの日本映画界を背負って立つ俳優さんの一人であることは間違いないのですから。これからも映画を中心にいろんな作品での活躍を祈っています。
ハンニバル・ライジング 下巻 (新潮文庫)
う〜ん、と言いたくなる点は確かに散見できます。
よく言われるように「紫夫人」はいつの時代の「日本人なんだよ!」ですし、
レクターがなぜああいう人間になったかと明かされている部分にしても、
完璧に納得できるほどではありません。
非常に些細なことで言えば
レクター博士が生まれながらに6本指であったことには一言も触れられなかったし
これまで日本趣味のかけらも見せなかったのにもかかわらず
源氏物語の朝顔の巻の和歌で受け答えが出来るほど日本文化に詳しいなど
「あれほど衒学趣味のレクターがなぜこれまでその片鱗すら見せなかったのか」
と言う疑問など、突っつけばいくらでもボロがでそうです。
それでも相変わらずぐいぐいと読ませてくれるストーリーではある事には変わりありません。
真剣にレクターの過去を読むよりも、これも一つのエンターテイメントとして受け止めれば
ぞれなりに楽しめ、面白く読める小説ではあると思います。
ジャック・ソード 選ばれし勇者 [DVD]
○良い点
照明、撮影、音楽は一級品。
キャストもチョッキー・カリョなど面白い顔ぶれが揃っており、
中でも注目すべきは、主人公の少年時代を演じるレオ・ルグラン君。
ものすごい美形です。
●悪い点
各シーンがいちいちゆっくり進むので、ダラけてしまいます。
丁寧な作りだというのはわかりますが…
◎総評
いわゆる仇討ちものなのですが、
アクションは二の次で、史劇ロマンスに近い感じ。
恋人とは別に、主人公を愛するもう一人の女性がいるのですが、
彼女の存在感が実に可憐で、観て良かったなと思いました。