綿の国星 [DVD]
原作の大大大大ファンなので、正直アニメを観るのには勇気がいりました。
でも、思ったよりも原作の雰囲気がうまく現れていて、良い作品でした。
絵も綺麗に描かれていたし、ちび猫の動きが漫画のままで可愛らしく良かったです。ピコピコ歩く感じとか。
構成も原作の流れを壊さない様に丁寧に作られている感じがしましたし、テーマを一つにしぼり芯のあるストーリー展開になっていると思います。
ただ、☆が5個じゃないのは、ちび猫と時男の声が自分的に気に入らなかったからです。
それだけはショックです・・。ちび猫はもっとすっきりした癖のない声がよかったな。時男はもっとクールでかっこいい声がよかったな。。
でもお父さんとお母さんの声はとても良かったです。二人の掛け合いがコミカルに盛り込まれていて面白かったですよ。
金髪の草原 [DVD]
本作の製作は吉本興業だ。吉本というと、現代の人たちには「お笑い」の王国としてのイメージしかないだろうが、戦前は東宝・松竹・日活と並ぶ大製作・興行会社だった。だから「お笑いが一般映画を作った」のではなく「名門が半世紀ぶりに帰ってきた」というのが正しい。犬童一心監督と池脇千鶴のコンビは、このあと傑作の「ジョゼ」を撮ることになるが、その第一歩として観るとお互いの呼吸もピッタリであり、また何より池脇が可愛い。伊勢谷友介はいつでも、どんな役でも抜群のキレがある。伊勢谷じゃなかったら、ストーリーもウソっぽく感じられたかもしれない。本当は80歳なのに、というのが観ている側も理解・納得できる芝居は圧巻であった。池脇千鶴は意外なことに、吉本系の事務所に所属している。今が旬の女優なのだから、もっと映画本編の主役を演ってもらいたいものだ。こういう不思議なストーリーは、作品の世界に「入るか」「入らないか」で全く評価の変わるものであるが、自分は好きな作品である。
水の中のライオン
個人的には、と前置きしたうえで、
5、8、9の3曲が白眉。
谷山さんのけっして力まない瑞々しい声を
邪魔せずにサポートするアレンジもまた秀逸。
上記3曲、アレンジが橋本一子さんでナットク。
石井AQアレンジが好きになれない人には
アルバム「時の少女」「たんぽぽサラダ」とあわせてお勧めです。
綿の国星 (第1巻) (白泉社文庫)
主人公のちびねこは、捨てられていたところを悩める高校生の時夫に拾われる。ちびねこは自分はいつか人間になると信じており、人間の時夫を愛する。だが時夫は同じ人間の女の子に恋心を抱き、さらにちびねこは美猫のラフィエルに猫は人間にはなれないことを聞かされる……。
『綿の国星』がよく「猫の姿を借りて少女の内面を見事に描いた」と評されるのは、少女の初めての「理想と現実の衝突」をうまく模しているからである。人間になれないということを知ったときのちびねこの悩みは、おそらくどんな人も中学生頃に味わったことのあるものではないだろうか。その悩みは初めてであるがゆえに、真剣であり、妥協がない。それに比べたら自分の行く末に対して漠然とした不安を抱く時夫の悩みは「下劣な悩みだ」とラフィエルに評されてしまうのである。(もちろん時夫の悩みも大変だろうけど)
一切が可愛らしいふわふわした絵によって進んでいく。だが大島弓子の絵は感情の密度が濃い。余白にも、ベタ塗りにも、何かの感情が表されているようである。とくにラストで精神的に成長したちびねこの独白部分は圧巻である。この表現こそが大島弓子の醍醐味だと思う。
『綿の国星』はシリーズ化したが、第1話がいちばんのおすすめ。
バナナブレッドのプディング (白泉社文庫)
人生初めて自分で買い求めた漫画。何度も何度も立ち読みして買うのを決めたのを覚えている。今読み返すと、大島さんの作品は思春期の不可解で、繊細でつかみどころのない少女の心を描かせたら絶品だとわかる。これもそのひとつ。下手なカウンセラーに話すより、大島作品を読んだほうが自分のことがわかるひとのほうが多いかもしれない^^。こういう漫画に出会えるということは私たちの文化の財産であり、かけがえのないものである。大島弓子というひとがいてくれて本当に嬉しい。ありがとう、大島さん。