天上の声~バロック・アリア・コ
もののけが先か、クラシックが先か。もののけであるというならば…これは納豆にネギを入れることを知らぬに等しい無知と言えよう。
彼はクラシックの歌手である。それも宗教曲を特に学び、彼の存在が知られたことで日本では「古楽」の存在が一般に認知されたという、古楽ファンには有難き存在です。これも海外逆輸入になりますが、是非とも。
ミュージカルやゴスペルなどのナンバーや懐かしのメロディーも器用にこなす彼の原点をきっちり聴いてくださいませ。
わが魂の安息、おおバッハよ!
「200CD Bach名曲・名盤を聴く」(立風書房)の演奏家紹介の中に、鈴木雅明さんが取り上げられたページがあります。その中で、演奏会のプログラムに鈴木さんの「制作ノート」と題された小論文が掲載されていること、それが鈴木さんの音楽的良心を端的に示すものであること、が紹介されていました。これを読んだ私は、ずっとそれをまとめた本を読んでみたいと思ってきました。その夢を叶えてくれたのが、この本でした。
基本的な内容は、鈴木さんがこれまでに発表された文章をまとめたものです。鈴木雅明さん&BCJの通ってきた道程を振り返るのに、最適な1冊ではないかと思います。
バッハ : ヨハネ受難曲 [DVD]
ヨハネ受難曲といえば、誰もがカール・リヒターの演奏を筆頭に挙げ、これ以外には不要であると考えているかもしれません。私もそうでした。それほど、リヒターとミュンヘン・バッハ管弦楽団の演奏は大きなインパクトを聴く者に与えてくれます。しかし、リヒターの演奏にもう私たちは接することはできません。
2000年7月28日のバッハ没後250年の命日に、鈴木雅明指揮によるバッハ・コレギウム・ジャパンのヨハネ受難曲が東京サントリーホールで演奏され、全世界に同時中継されました。リヒターへの思い入れもあり、私はその演奏を聴きませんでした。しかし今回、DVDで発売されましたので、それほどの期待はしていませんでしたが、たまたま購入してみました。聴いた(さらには視たですが)結果は“驚愕そして歓喜”でした。これほど瑞々しく、新鮮で、透明感があり、しかも美しく峻厳なバッハは聴いたことがないと言っても過言ではありません。日本人の演奏だからという先入観は全く無意味なことです。バッハの声楽曲を聴く新たな喜びが鈴木雅明氏によってもたらされたことに、全世界のバッハ・ファンは感謝すべきでしょう。
TVCMクラシックBEST100
タイトルにある通り、わりと新しいCMに使われているクラシックを集めたものなので
題名だけでは「?」という曲でも、聴いてみると耳にしたことのある曲ばかりです。
6枚組でたっぷり楽しめると思います。
ただ、中には「G線上のアリア」などCM用にアレンジしてある曲もあり、
そこが個人的にはちょっと残念だったかな…
でも、これからクラシックに挑戦したい、という方には
もってこいではないでしょうか。
クラシックって、難しそう!という先入観を持っている人でも、
聴いてみたらきっと、身近にクラシック音楽があふれていたことに気づくと思います。
バッハ:マタイ受難曲 全曲
テキストの意味と音楽の流れの双方の関わりを厳しく問い直し、妥協なく信仰の音楽として表現した稀有の名演だと思います。
ムードとして衝撃的で深刻な演奏は他にもあるかもしれませんが、この鈴木雅明の解釈は彼の音楽家としての実力とキリスト者としての信仰の表現意思が幸福な形で重なり合い、そこにすぐれた演奏者たちが積極的に取り組んでいったことにより、圧倒的な存在感のある演奏となったのだと思います。